Blenderブロックの作り方

無料ではじめるBlender CGイラストテクニック(大澤龍一 著)の「CHAPTER03 ポリゴンモデリング2」に掲載されているブロックを作ってみました。

このブロックは長方形の土台に8つの円柱がくっついたシンプルな形をしていますが

  • ループカット
  • 面の差し込み
  • 押し出し
  • 細分割曲面モディファイア
  • べベル

といったモデリングの基本的な機能が複数使われています。

書籍では制作過程を5つのパートに分け、順を追ってモデリングの仕方を解説しています。その通りに進めればブロックが作れるわけですが、Blender初心者の私は主旨と関係ない事柄も含めあちこちでつまずいてしまい、いったんネットで調べたり実験して確かめながらブロックを完成させました。

そこで書籍の5つのパートをフォローする形でディテールとTipsを追加してみようと思います。書籍のように紙面の制限があるわけではないので画像をたくさん使いました(おかげでちょっとくどくなった感じもしますが)。

Tipsを抜き出すと以下のようになります。

1.ループカット

(1)オブジェクトモードで立方体を作成

Shift+A▶ メッシュ ▶ 立方体

(2)編集モードに切り替え

TAB

(3)立方体を拡大

X方向に4倍:SX4Enter

Y方向に2倍:SY2Enter

拡大縮小ができなくなったとき

オブジェクトモードで「原点の操作」が有効になっていると「オブジェクトの移動はできるのに拡大縮小と回転ができない」という悲しみモードになります。これは「原点の操作」を無効に戻すことで解決できます。「原点の操作」設定ボタンは、下のツールバーに配置されている、三つの丸に矢印というシンプルで視認性が高く意味不明な外観のボタンです。

無効時:白っぽい
有効時:黒っぽい

「原点の操作」はオブジェクトモードで複数のオブジェクトを選択して使用します。拡大縮小や回転の操作を行うと、各オブジェクトの原点の座標だけを動かします。編集モードでは機能しませんし「原点の操作」設定ボタンもありません。

(4)ループカット

X方向に4等分:Ctrl+R

Y方向に半分:Ctrl+R

2.面の差し込み

(1)面選択モードにして8つの上面を選択

Shift+ 右クリック × 8回

(2)個別の面差し込み

Iを押した状態で

続けてIを押します。

または、面の差し込みを確定した後、ツールバーの「面を差し込む」から「個別」をチェックします。

T▶ 面を差し込む:個別

なお、すでに個別の設定になっている場合はIを一回押すだけで個別の面差し込みになります。

面の差し込みやベベルがうまくいかないとき

面の差し込みをすると面の周辺の幅が均一にならないことがあります。

また、ベベルを使用すると選択した辺から左右対称にかからないことがあります。

このオブジェクトは立方体をY方向へ4倍拡大しています。左右の違いは拡大操作を行ったときのモードのみです。

  • 左側のオブジェクト:編集モードに切り替えてから拡大
  • 右側のオブジェクト:オブジェクトモードで拡大

オブジェクトモードで拡大すると、オブジェクトが保持しているトランスフォームの拡大縮小値が更新されます。この値が面の差し込みやベベルに影響するようです。

右側のオブジェクトは拡大縮小の比率が(X:1, Y:4, Z:1)となっており、実際Y方向への変化量が4倍になっているように見えます。

N▶ トランスフォーム:拡大縮小

このトランスフォームの拡大縮小値はオブジェクトモードでトランスフォーム値の適用をするとリセットできます。

Ctrl+A▶ 拡大縮小

トランスフォーム値の適用を行うと、現在の位置、回転、拡大縮小の値がオブジェクトの初期値となり、位置と回転は0、拡大縮小は1に設定されます。
今回の例では拡大縮小しかしていないので、トランスフォーム値の適用メニューから拡大縮小を選びます。これで面の差し込みやベベルがXYZ方向へ均一にかかるようになります。

蛇足になりますが、編集モードで拡大縮小してもトランスフォーム値は更新されません。そこで、

  • なぜ編集モードで行った拡大縮小の値をトランスフォーム値に反映させないようにしているのか
  • なぜオブジェクトの拡大縮小の値を面の差し込みやベベルで使用するようになっているのか

という疑問が浮かびました。実際にこの仕様を有効活用しているサンプルがあれば謎は解けそうですが、自分にはちょっとわからないのでそっと沈めておくことにします。

3.押し出し

(1)選択した面の押し出し

押し出し:E

ちなみにマウスを動かすときCtrlを押すとグリッド単位で動かせます。

(2)角を立たせるためのループカット

細分割曲面を適用したときに突起部分の角を立たせるためのループ辺を作成します。突起部分をループカットで3等分にして先端用と根元用にします。一気にはできないので一つずつループカットしていきます。カットする位置は右クリックでデフォルトの位置に揃えます。

ループカット3等分:Ctrl+R× 8回

重複頂点の削除について

押し出し中にマウスの右クリックやEscでキャンセルしても面のようなものが作られます。

この面について調べてみます。
まず、立方体を作成し、編集モードで面選択モードにします。

上面の押し出し中にマウスを右クリックし、押し出しをキャンセルします。

すると謎の黒点が出現!

一見、点に見えますが、頂点選択モードや辺選択モードにすると消えるので、面選択モードのときに表示される面の中心点だと思われます。

次に黒点を選択してみます。なかなか選択できず悩みましたが、Zでワイヤフレーム表示にしたら選択できました。もとからある面の内側に位置しているみたいです。

確認しやすくするためソリッド表示に戻し、Xからを削除してみます。すると黒点が消えました。やっぱり面だったようです。

以上の結果から、押し出しをキャンセルするとオブジェクトの形状は元に戻って見えるけど、実はこっそり面が作られているといえると思います。

意図的にキャンセルして面を作るのであれば問題ないと思いますが、知らずにモデリングを続けるとベベルがうまくかからないとかポリゴン操作中にこっそり作られた面が顔を出すなどトラブルの原因になります。

押し出し前の状態に戻すにはCtrl+Zで前に行った操作を取り消すか、Blenderの重複頂点を削除する機能を使います。

W▶ 重複頂点を削除

Ctrl+V▶ 重複頂点を削除

重複頂点の削除は選択した部分だけ処理の対象になるので、Aでオブジェクト全体を選択してから使用します。

4.細分割曲面モディファイア

(1)オブジェクトモードに切り替え

TAB

(2)細分割曲面モディファイア追加

プロパティのモディファイアタブから「細分割曲面モディファイア」を追加します。細分化のパラメータはビュー、レンダーともに3に設定します。

(3)シェーディングのスムーズを適用

T▶ シェーディング:スムーズ

(4)編集モードに切り替え

TAB

(5)突起部分の角を立てる

突起部分に作成したループ辺を移動してシャキッとさせます。

まずは上のループ辺をすべて選択し、先端のほうへ移動します。

同様に下のループ辺をすべて選択し、根元のほうへ移動します。

重複頂点の削除の注意点

ループカットで作成した辺を端に移動することで角を立たせました。端へ寄せれば寄せるほどシャキッとします。

3等分した状態から上の辺ループを移動してみます。

シャキッ

シャキシャキッ

ならば、限界まで寄せれば最シャキになるはず

最シャキ!

ところがこれ問題がありまして、この状態で重複頂点の削除(W▶ 重複頂点を削除)を行うと、ループカットした辺が消えてしまうのです。

重複頂点を削除することで突然モデルが変形するとか、なんかかっこいいですよね!
私は遠慮させていただきたいです。
以上、注意点でした。

5.べベル

(1)辺選択

土台の長方形の辺を選択します。

(2)ベベル適用

ベベルにより選択した辺の周辺にポリゴンが作られるため元の形に近くなります。

Ctrl+B

逆ベベル

最後にちょっと変わったベベルの使い方を紹介します。

Ctrl+Bを押したあと、続けてPを押すとベベルが逆カーブでかかります。


自動スムーズやベベルモディファイアを使用するといい感じになります。

完成

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